公認会計士になるには、どうすれば良いのでしょうか?公認会計士になるには、まず公認会計士試験(短答式試験・論文式試験)に合格します。
次に、試験合格後に1.業務補助等、2.実務補習、3.修了考査合格の3要件を満たします。
そして日本公認会計士協会に名簿登録することで「公認会計士」になれます。
公認会計士の試験内容・形式
公認会計士試験では、以下の試験に合格しなければなりません。
- 短答式試験
- 論文式試験
短答式試験では以下の科目を受験します。
- 財務会計論
- 管理会計論
- 監査論
- 企業法
また論文式試験では以下の科目を受験します。
- 財務会計論
- 管理会計論
- 監査論
- 企業法
- 租税法
- 選択科目(経営学、経済学、民法、統計学の中から1科目)
試験スケジュール
公認会計士試験の試験スケジュールは例年以下の通りです。
短答式試験は年に2回開催されており、どちらかに合格すればよいです。
試験の難易度・合格率
過去10年間の公認会計士の合格率は以下の通りです。
年度 | 合格率 | 合格者数 | 受験数 |
---|---|---|---|
2021年 | 9.6% | 1,360人 | 14,192人 |
2020年 | 10.1% | 1,335人 | 13,231人 |
2019年 | 10.7% | 1,337人 | 12,532人 |
2018年 | 11.1% | 1,305人 | 11,742人 |
2017年 | 11.2% | 1,231人 | 11,032人 |
2016年 | 10.8% | 1,108人 | 10,256人 |
2015年 | 10.3% | 1,051人 | 10,180人 |
2014年 | 10.1% | 1,102人 | 10,870人 |
2013年 | 8.9% | 1,178人 | 13,224人 |
2012年 | 7.5% | 1,347人 | 17,894人 |
公認会計士試験の必須科目を分析
公認会計士試験の2つの試験で必須の科目は以下の通りです。
- 財務会計論
- 管理会計論
- 監査論
- 企業法
- 会計学
- 租税法
それぞれ詳しく見ていきましょう。
必須科目①財務会計論
財務会計論は公認会計士試験の土台となる、簿記と財務諸表論にわかれます。簿記で帳簿の計算や作成方法を学びます。
一方で財務会計論は簿記で学んだ計算方法などの背景や理論がメインです。
2つの分野は密接に関わるため、片方が理解できなければもう片方も理解するのに手間がかかります。そのため2つの分野を同時並行で学ぶのが効率が良いです。
必須科目②管理会計論
管理会計論は経営者や企業の管理者に企業の将来の経営方針の企画案や計画案を分析します。
試験では具体的に、下記の項目を確認します。
- 必要な製品の原価の計算の仕方
- 経営管理の経営指針の決定方法
財務会計論と同様に短答式試験と論文式試験の両方の試験で出題されるため、念入りな学習が必要です。
とくに原価の計算など工業簿記の理解が必要なため、製品の製造の流れをイメージして分析を行わなければなりません。
必須科目③監査論
監査論は、公認会計士試験の中でも感覚で解く問題が多い科目です。
監査論は膨大な範囲を覚える必要があるため、試験問題をまったくの無知で解く必要があります。
そのため理解している知識と覚えている事柄を頼りに問題に取り組まなければなりません。
覚えている範囲を確実に取りきる勉強法が重要です。
必須科目④企業法
企業法は企業の活動に関わる法律を学習します。
具体的には、下記の科目がメインです。
- 会社法
- 商法
- 金融商品取引法
企業法は、純粋な法律科目なため内容を理解できれば確実に点数につなげられます。
必須科目⑤租税法
公認会計士の租税法には、法人税法、所得税法、消費税法の3つの法律が含まれています。
計算問題が6〜7割で記述問題が3〜4割で問題が構成されており、知識のみでは高得点を取れません。
公認会計士試験の選択科目を解説
公認会計士試験には4つの選択科目があり、この中から1科目を選ぶ必要があります。
- 経営学
- 経済学
- 民法
- 統計学
選択科目①経営学
経営学は公認会計士試験の受験者で一番選択される科目です。理由は他の科目に比べて勉強量が少なく、財務会計論と親和性が高いからです。
具体的な内容は、分散や期待値などの計算問題や経営の知識を問われる問題が多く出題されます。
しかし計算問題は数学の基礎のみを取り扱うため、数学に自信がなくても挑戦できる人が多い科目です。
ーメリットー
・勉強時間が短い
・財務管理と管理会計で親和性が高い
ーデメリットー
・試験委員が変わりやすいため試験問題も変わりやすい
選択科目②経済学
経済学は、経済に関する理論的な知識が問われる科目で、マクロとミクロ経済にわけられます。
ミクロ経済では企業や消費者の経済活動の行動原理を分析し、マクロ経済では国や国家間の経済活動を分析します。
計算や数式の理解が必要ですが、一度理解すれば他の問題も解けるようになる科目です。経営学と比べて勉強時間が少し長いですが、高得点を期待できます。
ーメリットー
・計算要素が多く高得点を狙える(数学が得意な人には有利)
・内容を理解して応用できれば、暗記する量を減らせる
ーデメリットー
・一つのミスで複数の問題を間違えるリスクがある
・他の科目との親和性はあまりない
選択科目③民法
民法は民放に関する法律科目で、民放総則・物件・債権などについて学びます。
他の科目と異なり数学的な要素はありません。企業法と同様に法律のみを勉強するため、数学が苦手な人が選択する科目です。
注意点は、勉強時間が他の選択科目よりも必要で、合格するためには厳しい競争を勝ち抜かなければなりません。
ーメリットー
・数学的知識を使わない(数学が苦手な人向け)
・企業法と親和性が高い
ーデメリットー
・比較的多くの勉強量が必要
・競争が激しい
選択科目④統計学
統計学は統計に関する基礎を学ぶ科目です。
記述統計、確率、推測統計、相関・回帰分析の基礎などが含まれるため、数学が得意な人は比較的得点を稼ぎやすい科目です。
高度な数学は出題されませんが、確率や数値の分析を常に行うため数学が苦手な人は受験をおすすめしません。他の科目に比べて比較的勉強時間が短く、高得点を期待できます。
ーメリットー
・比較的勉強量が少ない
・公認会計士の実務でも役に立つ
ーデメリットー
・数学が苦手な人には向かない
・他の科目とのシナジー効果はあまりない
公認会計士試験の出題科目順序
公認会計士試験の短答式試験での出題科目順序は以下の通りです。
- 財務会計論
- 管理会計論
- 監査論
- 企業法
公認会計士試験の論文式試験での出題科目順序は以下の通りです。
- 会計学
- 監査論
- 企業法
- 租税法
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